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今回はランチェスター戦略の中でも弱者が用いるべき基本戦術の1つ、「局地戦」について解説します。
「局地戦」は様々なマーケティングに応用可能ですが、本記事では事例を中心にお伝えしていきますので、ご自身のビジネスに置き換えてご覧になってください。
ランチェスター戦略の基本戦術、『局地戦』とは?
ランチェスター戦略では、基本戦術である”局地戦”が重要視されています。
圧倒的な強者に対して弱者が立ち向かう場合に、すべての兵力をぶつけ合った全面的な勝負では、弱者に勝ち目がありません。
逆に、地域的に限定された局地戦に持ち込みことができれば、お互いの兵力差をカバーすることも可能です。
ビジネスの世界でも同じように、中小企業が豊富な資本やブランド力を持っている大企業に勝つためには、自社の強みを活かして局地的な勝負をする必要があります。
総合力では圧倒的に大企業の方が上であるため、中途半端に手を広げすぎてしまうと、勝てる可能性もどんどんと低くなってしまうのです。
まずは、自分たちが有利に立てるような勝てる戦域(市場)を局所的に探し出していくことが重要になります。
『局地戦』の成功事例


ここからは、以下の3つの成功事例を紹介しながら局地戦について解説していきます。
- H.I.S.
- ソフトバンク
- 織田信長
今では大企業として認知されている企業(人物)ですが、もちろんこれらも最初から大きな組織を有していたわけではありません。
現在の中小企業と同じように、初めは強者に立ち向かう弱者として参入し始めました。
そんな彼らが当時活用していたのが、まさにランチェスター戦略です。
では、実際に局地戦活用することで、どのようにして大企業と渡り合っていけばいいのでしょうか?ここでは、3つの成功事例を挙げて解説していきます。
H.I.S.
今や海外・国内旅行の予約ができる旅行業者として有名な『H.I.S.(エイチ・アイ・エス)』ですが、実は創業当初からランチェスター戦略を実践してきている、成功の最たる事例です。
なんといっても創業者の澤田秀雄氏は、「ランチェスター協会」の顧問でもあり、世界で通用する経営者を育て上げるために教育機関も立ち上げています。
近年では、海外旅行の取り扱い人数で同業他社を上回る結果を残していますが、創業当初は海外旅行の取り扱い高もそれほどありませんでした。
むしろ、澤田氏が海外航空券の販売事業を立ち上げた当時(1981年)は、添乗員付きの団体旅行が主流な時代です。裕福な人しか海外旅行に行けず、海外の年間渡航者数もそれほど多くありません。
そんな中、澤田氏は起業前にドイツへの留学やバックパッカー(低予算で個人旅行する人)をしていた経験を活かし、海外航空券事業を初めたのです。
同じように裕福な人をターゲットにした団体旅行では、競合となる大企業に勝てないと踏んだ澤田氏が着目したのは、「お金がないが、時間はある学生」
彼らに対して、乗継便や閑散期の海外渡航券を大量に仕入れることで、格安で海外航空券を提供できるよう手配をしたのです。
ランチェスター戦略の観念から、当時デッドスペースであった格安個人旅行において、航空券販売事業者としての地位を確立し、今では大企業となりました。
ソフトバンク
『ソフトバンク』は、創業からたった33年で国内での営業利益1兆円を超える偉業を成し遂げた、誰もが知っている大企業です。
実は、そんなソフトバンクの孫正義社長は、グループ戦略の核にランチェスター戦略を据えています。
創業当初からブランディングからマーケティングまで様々なことにしっかりとした戦略を作り、的確な投資をすることでここまでの成長に繋がってきました。
企業買収や数々の新規事業へ参入を果たしてきたソフトバンクは、基本的にランチェスター戦略を用いて、事業参入後はまず”弱者”の立場に自らを置き、様々なプロセスを経て強者へと至っていくのです。
ソフトバンクがボーダフォンを買収し、インターネットプロバイダー事業や携帯電話キャリア事業を始めた当初、『NTTドコモ』が市場の大部分を専有している圧倒的な強者として存在していました。
そんな時にソフトバンクが行ったのは、価格破壊を起こすことでした。
インターネットプロバイダーは当時の相場から半額程度、携帯電話に至っては「端末料金・通話・メール0円」など、圧倒的な低価格による訴求で広告を展開。
まずは、消費者に対して「安いのはソフトバンク」というブランディングを成功させたのです。
この時、競合他社が追従して格安での提供を始めたとしても、すでに安さのイメージはソフトバンクが持っているため、己の土俵に引き込みながら有利に事業を進めていくことができるようになります。
そして、ソフトバンクが営業利益を圧倒的に伸ばす要因となったのが、”iPhone”のいち早い導入です。
当時格安携帯に終始していた携帯電話キャリア事業に、新たな風を吹かせたiPhoneにどこよりも早く着目し、スマホへのシフトを済ませました。
これがさらなる競合他社との差別化に繋がり、営業利益を着実に伸ばしていく要因となったのです。
織田信長
戦国時代から安土桃山時代にかけてその名を轟かせた名武将・織田信長。
実は、彼もランチェスター戦略を実践し、勝てぬはずと思われた戦いを勝利に導いた人物なのです。
圧倒的な不利な状況から歴史的な大勝利を収めたのは、かの有名な”桶狭間の戦い”。
永禄3年5月19日、相対する今川軍が2万人の軍を従える中、織田信長はたったの2千人の兵力を持って戦いに望んだのです。
その戦力差は10倍もあり、まるで勝ち目がないように思えますが、結果的には織田信長が勝利しています。
その要因となったのが、当時は生まれてもいなかったランチェスター戦略の理論を、彼が知らず知らずのうちに実践していたことにあります。
織田信長は、2万人規模の大軍と戦うために少数精鋭の軍を組織し、地の利を活かしながら天候の悪化を見逃さずに今川軍へと攻め入ったと言われています。
それはまさにランチェスター戦略で提唱されている一点突破。精鋭の戦力を一点に集中し、局所戦にて見事に敵大将の首を討ち取ったのです。
一点突破についてはこちらもどうぞ。
まとめ
ビジネスの世界において、大きな力を有する大企業と正面から戦うには、中小企業ではブランド力も資本も足りないことが多いでしょう。
しかし、中小企業でもランチェスター戦略を活かした事業戦略を練ることで成功を収めることが十分可能です。
自社の強みや市場調査をしっかりとし、同業他社との差別化、一点突破を意識しながら、局所戦にて戦うことが重要になります。
まずはランチェスター戦略を基にした企業戦略を練って、大企業と戦い得る術を探していきましょう。
マーケティングや分析について、さらに具体的な方法をメルマガで随時公開していますので、ぜひお読みいただければと思います。


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